足底腱膜炎
更新日時:2024/08/23
足底腱膜炎とは?
図1:足底腱膜炎の発生機序(引用:足底腱膜炎の診かた.高橋 謙二.MB Orthop VoL36 No3.2023)
足底腱膜炎(そくていけんまくえん)とは、かかとの骨から足の指の付け根にかけて伸びている組織(足底腱膜)が炎症を起こしたり、変性することで痛みなどが出る疾患です。
足底筋膜炎、または近年では足底腱膜症とも呼ばれます。
一般の中高齢者は病変が踵骨隆起内側の付着部に多く(付着部型)、ランナーをはじめとしたスポーツ選手はそれよりやや遠位の実質部に限局して痛みを生じていること(非付着部型)が多いとされています。
足底腱膜炎の症状
☑ 起床時や歩き始めに痛む
☑ 長時間の立ち仕事や歩行などの運動時痛
足底腱膜炎の原因
外的因子として、過度、または急激なスポーツ活動への参加、立ち仕事や硬い靴で長時間歩行するような職業などが関連します。
また内的因子として、高齢者、肥満、凹足や扁平足などの足部形態、アキレス腱や腓腹筋内側頭の拘縮による足関節背屈制限も一因となると報告されています。
足底腱膜炎の治療法
米国の研究では,10人に1人は足底腱膜炎の疾痛に悩まされたことがあるとされるますが、その90%は1年以内に保存治療で治癒する、と報告されています。
□リハビリテーション
足底腱膜や下腿三頭筋などの筋肉の硬さは、痛みや発症の要因となるため、ストレッチによる柔軟性の獲得が必須です。
また、アーチを強化するためにタオルギャザーや踵上げ運動により足趾底屈筋群や後脛骨筋を強化し、重心移動を円滑化するために殿部や体幹の筋力訓練などを行います。
□インソール
荷重時の足部アーチの安定化のためアーチサポートや踵部の疾痛部位にヒールパッドを用いる
ことで痛みの軽減に期待できます。
当院では、テーピング療法なども併用しながらインソールやヒールパッドが有効かどうか判断しながら提案しています。
□注射療法
痛みが強い場合には、病院にてステロイドによる局所注射を行なわれることがあります。
しかし、ステロイド注射は消炎による除痛効果は高く即効性を認めますが、効果は短期的で複数回の使用では無効となることも多く、腱膜断裂や脂肪体萎縮のリスクもあり、漫然と行うことは控えるべきである、と報告されています。
□体外衝撃波治療(ESWT:extracorporeal shock wave therapy)
難治性の足底腱膜炎の場合には、病院にて体外衝撃波治療が選択される場合があります。
体外衝撃波を患部に照射することで、神経線維の破壊による即時的な疾痛緩和や、血管新生や組織修復を促すことができる治療法です。
□手術療法
保存的な治療の効果が乏しい場合には、手術療法が適応になります。
参考・引用文献一覧
1)足底腱膜炎の診かた.高橋 謙二.MB Orthop VoL36 No3.2023
執筆者 小山 晴樹
こやま整骨院・整体院 院長 (長野市南長池761-5)
柔道整復師免許を取得後、長野県長野市内のスポーツ整形外科にて診療補助・リハビリテーション業務に従事。オリンピック選手やプロ野球・プロサッカー選手などのリハビリテーションにも携わる。また、施設管理主任・部長として、施設運営のみならず講演会や研修会を企画運営した。
現在は、長野市南長池にて「こやま整骨院・整体院」の院長として臨床に携わる。