仙腸関節障害
更新日時:2024/6/7
仙腸関節障害(仙腸関節炎)とは?
仙腸関節(せんちょうかんせつ)とは、体幹と脚の境界に位置し、二足歩行時に上半身の重さを支えつつ、脚を通じて地面からの衝撃を受け止めている関節です。その関節が微小な不適合を生じることで、腰痛やおしり・脚の痛みを生じます。
この状態を「仙腸関節障害」または「仙腸関節炎」と呼びます。
腰痛診療では、4~5例に1例の割合でみられる非常にありふれた疾患です。
しかし、その異常は現時点では画像所見として同定できないため、一般的な整形外科ではいわゆる「ぎっくり腰」または「慢性腰痛」として扱われることが多いです。
そのため適切な治療が受けられずに悩まれている方が当院には多く来院されます。
仙腸関節炎の症状
☑ 座っていると腰やおしりが痛い
☑ 脚に痛みやしびれを伴うことがある
☑ 長時間椅子に座れない
☑ 仰向けに寝れない
☑ 痛い方を下に寝ると痛い
仙腸関節炎の原因
不意の動きや繰り返しの動作で関節に小さな不適合やひっかかりが生じると仙腸関節障害が発症するとされています。
重量物の挙上や追突事故、高所からの転落などの明らかな外傷をきっかけに発症する場合もあります。
仙腸関節炎の治療法
・徒手療法
機能障害という病態が根幹である仙腸関節の不適合に対して、関節の適合性を改善する徒手療法が有効です。
また、当院では仙腸関節の不適合を助長している姿勢や動作を修正することで、より早期の改善と再発予防を目的として施術を行っています。
・腹部体幹筋トレーニング
仙腸関節障害には腹部体幹筋トレーニングが有効とされています。
体幹筋のなかでも、特に腹横筋とよばれるインナーマッスルが仙腸関節の適合性を高めると報告されています。当院では、専門家の指導のもと体の状態に合わせた腹部体幹筋トレーニングが受けられます。
・検査
仙腸関節由来の痛みの大部分は、関節の微小な不適合による機能障害が原因であるため、徒手検査が重要です。現時点では、レントゲン検査やMRI検査などでは異常が同定できないとされています。
整形外科では、エコー下仙腸関節後方靭帯ブロックを行うことがあります。
ひとつの検査ではなく、多角的に検査することで評価の精度が高まります。
仙腸関節障害の診断において用いられる代表的な徒手検査法(文献2より引用)
簡単!腰痛体操①腹筋強化
※必ずしも全員に効果を保証するものではありません。痛みのないようにお試しください。
簡単!腰痛体操②お尻トレーニング
※必ずしも全員に効果を保証するものではありません。痛みのないようにお試しください。
・骨盤ベルト
急性期の痛みの緩和に用いられます。
前締めと後ろ締めタイプがあります。
痛みの緩和に有効なものを選択して使用します。
・ブロック注射
検査で行った仙腸関節ブロックが治療にもなります。整形外科にて受けることが出来ますが、実施してもらえる病院・クリニックは少ないのが現状です。
・難治例の場合
仙腸関節部の痛みが強く、ブロック注射の効果が限定的で、6ヶ月以上保存療法を継続しても日常生活が困難で、就労不可能な例などには仙腸関節固定術と呼ばれる手術が検討されます。
執筆者 小山 晴樹
こやま整骨院・整体院 院長 (長野市南長池761-5)
柔道整復師免許を取得後、長野県長野市内のスポーツ整形外科にて診療補助・リハビリテーション業務に従事。オリンピック選手やプロ野球・プロサッカー選手などのリハビリテーションにも携わる。また、施設管理主任・部長として、施設運営のみならず講演会や研修会を企画運営した。
現在は、長野市南長池にて「こやま整骨院・整体院」の院長として臨床に携わる。